ファシリテーターとWSデザイン(午前の部)
先週、山岸先生から、ファシリテーターとワークショップデザインはなんたるかを1日かけて学んで来た。
※本ブログは、午前の部の講義&ディスカッションのまとめです。午後の部は次回ブログでまとめます。
はじめに
受講前のワークショップ(WS)の認識:
- なんかイケてる人達がリア充感をだす。
- HCDやUXDのセミナーなどで良く使われる。
- 比較的若手のほうが得意。
- ブレストや発散などの用語がよく使われる
受講前のファシリテータの認識:
- WSでチーム内にいて、リーダーシップと言うよりは、メンバーシップを発揮するような人
ワークショップの要件
これまで、UX KYOTOやUX KANSAI等で、ワークショップに参加したしてきました。また、自分が言い出しっぺでワークショップっぽいことをすることも。でも、ワークショップの要件など考えたこともなかった。山岸先生の定義では、
グループワークを通じて、高い創造性を発揮する/させる
事がワークショップであるとのこと。そして、
ワークショップでは、質の高い成果物と、成果物を作るまでのプロセスを学んでもらうことを両立できない
と言う点も印象的。企業でトップダウンの企画によりワークショップを行うと、「チームの士気を高める」「素晴らしいアイディアが産まれる※」を目的にしてしまう事が多いらしく、こう言うものは虻蜂取らずになってしまうとのことであった。
他にも「HCD/UXDのプロセスを学ぶ」「素晴らしいサービスが産まれる」等も同様。
※”産まれる”と受動態にしているのは、ワークショップが何か魔法のようなもので、WSという行為ですごいものが産まれると思い込まれている上の方が多いと私自身が感じているからです。
ファシリテーターの役割
ワークショップを実施する上でのファシリテーターの役割りは以下の通り。私が思っていたファシリテータは、このうち3,4に該当していたのだと判明。
- 場を作る
- プロジェクトを動かす
- チームを育てる
- 成果をだす
場を作る
これは、ワークショップを開始するまでの話。会社でのWSで、実務的に言えば参加者の日程調整や、場所の確保、模造紙やぺん、付箋の確保など。ただ、それ以上になぜこのWSをやるのか、どんなWSをするのかなども考える。
プロジェクトを動かす
プロジェクトの状態も千差万別。山岸先生は、参加者のスキルの高低と、ワークショップ成果物の高低で4象限に分割されていました。
スキル低 成果物低:そもそもなぜワークショップをなんでやらされているの?って参加者が疑問に思っている状態
スキル高 成果物低:ファシリテータが力不足で成果物まで結びつけれていない
スキル低 成果物高:いちばんファシリテータの技術が問われる状態。
スキル高 成果物高:参加者全員がファシリテーターとして振舞う事ができている状態(逆にファシリテータは不要)
チームを育てる
チームを育てると言うところがで、
チーム≠人の集まり
信頼≠仲良し
で、以下に右辺の状態を左辺に持っていけるかがファシリテーターの力の見せ所だとこと。いかに、メンバーが持っているもの(専門知識やビジネスマンとしてのコンピテンシー)以上の成果が出せるか。
すごいファシリテータとは?
楽しいだけで、特になんの成果物も出ないワークショップ。大学生にありがちだそうです。冒頭のリア充感みたいなワードは、こう言うイメージから来ているのかも。
そして、あまりに楽しくない、苦しいけど、成果物が高いワークショップ。そして、楽しくて成果物も素晴らしいワークショップ。この3つめの状態に持っていけるのが、すごいファシリテータ。なるほど。言われてみるとその通りですが、言われてみないと、考えたこともなかった。
その為には、
鏡:”自分はどうだ?”と考えながら聴く
チューブ:相手の中には深く入り込みながら聴く
アンテナ:全てを感じながら聴く
事が大事だとのこと。このあたりは、HCDのインタビューでも類似の話でもあるが、それ以上に、ビジネスマンのコンピテンシーとして必要なのだろうと思います。
ファシリテーターは二階建て
まずこれはファシリテーターに限らないけど、(教育的な意味合いで)技術を学び、(実戦的な意味合いで)ものまねを繰り返すことで、自分のマインドセット(血肉)になって行くとのこと。これは痛感しています。まだまだHCD/UXDはできていない。これは「師匠と弟子モデル」も同じこと。
そしてファシリテーターの二階建とは、
2階:専門的なファシリテーション能力:目的・ゴールにフォーカス出来る、ゴールドまでの道筋(手段やツール)にバリエーションを与えれる、根拠を説明できる能力
1階:一般的なファシリテーション能力:合意形成を導く能力、相互理解させる能力
この1階、2階を鍛えないといかない。どっちが得意はあったとしても、どちらか一方しかない場合、ファシリテーションを行なうのは難しいとのこと。確かに、1階だけすごいのって、よくわからないコンサルに多いイメージ。やけに合意はできるけど、実務のこと何もわかってへんやん!って。
2階だけ強いのは、一匹狼的な技術者に多いイメージ。実務させると、すごい納得できる設計をしてくれたり、時間をかけて話を聞くと根拠などもすごい人。
この両方を兼ね備えるとファシリテーターになれるんだなとおもいます。
ワークショップデザイン
ワークショップをデザインするときは
問いの解像度をコントロールする
ことによって、デザインされたworkshopになる。
ワークショップでメタな視点を参加者に与える事が出来れば、5年後に活きてくる。
あとワークショップの目的の明確化。
教育としてUXセミナーのワークショップをデザインする時は、基本的には、UXD/HCDの専門性が有れば良い。
事業として、サービスデザイン(新しい事業)を考えようとするならば、UXD/HCD、お金の計算、マーケティング、経営、知財などの専門性を持った人が参加社に必要となる。
ワークショップにおけるファシリテータの役割
実施→観察⇄参加→実施
私は「参加」が得意だけど「観察」が苦手。気が付いたら参加者になってしまっており、俯瞰出来ていない。立場のスイッチができない。
このあたりまでが今回のセミナーの午前の講義&ディスカッション。この「ファシリテータの役割」で感じたことは午後に行ったワークショップデザインのワークショップを次回記事でまとめます。