Xデザインフォーラム in 京都 (セミナー編)
先ほどXデザインフォーラムin京都(ワークショップ編)に続く後編。
Xデザインフォーラム in 京都 (ワークショップ編) - masashiohfuchiの日記
■山内先生のお話
以下書籍をベースにしたお話でした。
今回のセミナーを受けるにあたり、一度拝読した状態でセミナーに挑みましたが、本当に読んでおいてよかった。
非常に多くの示唆があった中で、私が気になったポイントだけピックアップします。
- 主客分離が前提のこれまでのサービスではいけない
- モノからコト(体験)になるにつれて、デザイナーもサービスの対象に含まれる
- 客という主体はサービスの結果でありサービスへのインプットではない
- 文化をデザインできる企業でないといけない
いや…本当に難しかったです。普段実務としてどうやったら実践できるのかしか考えていなかった私からすると、学問としてHCDやサービスデザインを捉えてらっしゃる山内先生の捉え方は本当に新鮮でした。
先生のお話の中で私のこれから意識しようと思ったのは、デザイナーとユーザーが対等な関係でデザインを作っていかないと、ただユーザーを神様にして、従属関係の中でサービスを作っていっても飽きられるというコト。寿司屋の大将ほど、お客様に対して厳しく接することはできなくとも、デザイナーがお客様のことだけ考えるのではなく、デザイナーとお客の双方で織りなすサービスの中で得られるものを最大化できるようにしないといけないのかなと。(ここら辺、理解の仕方が正しいのか、書いていて不安になってきました)
■安藤先生のお話
HdCD(人間脱中心設計) v.s. ISO9241-210
山内先生のお話を受けてからの安藤先生のお話。
今まで私の感じていた
「HCDを突き進めてもiPhoneを作れるようにはならないよね」
という自分の疑問にダイレクトに響く内容でした。
ISO9241-210は、業務インタラクションシステムに原点して導入されてきた経緯があり、ISO9241-210は狭義のHCDであり、本来のHCDの哲学の一部になってしまっているとのこと。
ISO9241-210を誤って解釈し、ユーザーの言っていることをそのまま作りますは、NG。ユーザーの利用状況を把握し、本質的ニーズを把握しないといけない。本質的ニーズは手段を変えてでもユーザーが達成したいコトである。今ある手段に改善を加えてもイノベーションは生まれない。
これ、昨年UXKANSAI2016で浅野先生にも一年間言われ続けてきた話だと思いますが、改めて別の先生から伺うことで身にしみました。
他にも黒須先生の提言されている
「目標指向的行動」:業務システムなどで、目的を早く確実に実施完了できる
「プロセス指向的行動」:プロセスで、気持ちよく達成ができる
「状態指向的行動」:高級腕時計を眺めているだけで満足できる
という3つの行動について説明がありました。ISO9241-210が考えているのは目標指向的行動だけとのことである。
今までいわゆる「当たり前品質」を実現すること=HCDという認識があり、その一つ上を目指すのがUXDというような捉え方をしていた部分があった。
累積的UXと同義と感じたプロセス指向的行動を実現することがUXなのだと再認識。
自分の中であやふやだった HCDとUXDの違いがこういった体系化された中で説明頂けると頭の中がスッキリ。
私は医療機器開発を業務としており、このプロセス指向的行動がユーザーにあるのか、まだ答えを持てていませんが、当たり前品質を押さえるだけみたいな開発を一個上の段階に持っていけるように意識高い系で頑張ります。
■山内先生、安藤先生のお話を拝聴して
一番心に響いたのは安藤先生の以下のお話。これは山内先生の話とも重なる部分がありました。
二次的理解。デザイナー自体も対象ユーザーの体験について同じように体験し、ユーザーとそのことについて語り合うことを前提にしなければ、HCDは成立しない
HCDの原則。できるだけ長い間問題を特定せずに、暫定的なデザイナーの主観的なデザインを繰り返し実施し、評価を実施すること
今まで、「ペルソナ」「カスタマージャーニーマップ」「構造化シナリオ」などというものを作れば、良い製品ができるというものだと信じて、この世界に入り勉強してきたところがありました。
でも、同時にこういったことをしても必ずいいサービスができるわけないだろというようなHCDやUXに対する懐疑的な思いもありました。
UX KANSAIなどのワークショップでも、自分やチームのメンバーのこれまでの経験や主観によってサービスができていく部分があり、それで本当にペルソナのことに向けているのかという悩みもありました。
でも、今回のXデザインフォーラムin京都で、ワークショップ、セミナーを通じて、いかに自分の経験も生かしながら、ユーザーのことを考えて、体験をデザインできるのかが大事なんだと、ユーザーのことを見るのに注力するだけでなく、とりあえず自分の主観でデザインして、それが響くのかという、ある意味技術者の自己満足の部分も織り交ぜながら、開発していきたいと思います。
我ながら文章がまとまっていませんが、うまく咀嚼できるまではこのままでいきたいと思います。